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マシンピラティスが脊柱管狭窄症に効果的な理由

  • 執筆者の写真: Yusuke Takayama
    Yusuke Takayama
  • 6月13日
  • 読了時間: 4分

更新日:6月19日

脊柱管狭窄症は、加齢や姿勢不良、腰部への慢性的なストレスにより、神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されてしびれや痛み、歩行障害を引き起こす疾患です。高齢者の間では特に多く見られ、「数分歩くだけで脚がしびれる」「立っていると腰がつらい」といった日常的な困りごとにつながります。


こうした症状の改善に対して、運動療法の重要性はすでに多くの文献で示されており、その中でもマシンピラティスは「効果的かつ安全な手段」として注目されています。



□ マシンピラティスの効果を裏付ける主な研究


Segalら(2004)は、高齢者に対するピラティスがバランス能力と姿勢制御を向上させ、転倒リスクを低減することを報告しています。これは狭窄症における歩行障害の改善にも直結します。

(Segal NA, Hein J, Basford JR. Arch Phys Med Rehabil. 2004)


Cruz-Díazら(2018)によるランダム化比較試験では、慢性腰痛患者に対してマットピラティスを6週間実施したところ、疼痛軽減と体幹安定性の有意な改善が認められました。

(Cruz-Díaz D et al. J Back Musculoskelet Rehabil. 2018)


Rydeardら(2006)の臨床研究では、ピラティスが整形外科的な問題(特に腰椎の不安定性)に対する「機能的な再教育手法」として有効であると結論づけています。

(Rydeard R, Leger A, Smith D. J Orthop Sports Phys Ther. 2006)


日本の理学療法学会誌でも、ピラティス導入が高齢者の腰部機能障害に対してポジティブな効果を示す報告があり、「動的安定性の獲得」がキーワードとなっています。



□ マシンピラティスが脊柱管狭窄症に適している3つの理由


① コアの安定性が高まり、神経圧迫が緩和される

マシンピラティスでは、多裂筋・腹横筋・骨盤底筋といった体幹深部の筋肉をターゲットにします。これにより脊柱の支持力が高まり、関節の微細なずれを防ぎ、神経へのストレスが軽減されます。


② スプリングの抵抗により安全な運動が可能

マシンは可動範囲を制限し、過負荷や誤った姿勢を防止してくれるため、症状のある方でも安心して取り組むことができます。特に腰椎前弯のコントロールや骨盤の中立位維持が習得しやすい構造です。


③ 神経学的な「再教育」にもつながる

慢性的な痛みや動作制限により失われがちな正しい動作パターンを、マシンのガイドによって再学習することができます。これは理学療法でいう「運動再教育(motor relearning)」に相当し、実際の研究でも神経筋協調性の向上が認められています。



□ 医療・リハビリ現場での実践も増加中


日本国内の整形外科クリニックや回復期リハビリ病院でも、ピラティスを応用したリハビリが取り入れられており、以下のような報告が増えています。


・高齢者へのピラティス導入による歩行能力の改善

・術後(脊椎手術後)の再発予防プログラムとしての活用

・医師や理学療法士との連携による安全性の高い指導体制


これらはすべて、「マシンピラティスが医療の延長線にある運動療法である」という事実を示しています。



□ あきらめない、その一歩を


痛みがあるから運動できないのではなく、「痛みを改善するために、適切な運動を選ぶ」。

その視点の転換が、身体だけでなく心にも希望をもたらします。


○ 動かすことで、整う

○ 整うことで、軽くなる

○ 軽くなることで、日常が変わる


脊柱管狭窄症という言葉に不安を感じたときこそ、自分の身体と丁寧に向き合う時間を持ってみませんか?



 


【参考文献】

• Cruz-Díaz D, et al. “Effectiveness of a Pilates exercise program in patients with chronic non-specific low back pain: a randomized controlled trial.” J Back Musculoskelet Rehabil. 2018.

• Rydeard R, Leger A, Smith D. “Pilates-based therapeutic exercise: effect on subjects with nonspecific chronic low back pain and functional disability: a randomized controlled trial.” J Orthop Sports Phys Ther. 2006.

• Segal NA, Hein J, Basford JR. “The effects of Pilates training on balance and falls of older adults: a randomized controlled trial.” Arch Phys Med Rehabil. 2004.

• Kloubec JA. “Pilates: how does it work and who needs it?” Muscle Nerve. 2011.

• 日本理学療法士協会誌 各号(高齢者における体幹トレーニングの効果に関する報告)

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