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ピラティスの適応となる腰痛とその他の腰痛〜運動が「効く腰」と「効かない腰」を見極める〜

  • 執筆者の写真: Yusuke Takayama
    Yusuke Takayama
  • 7月15日
  • 読了時間: 4分

□はじめに

「腰が痛いけど、動いて大丈夫?」「ピラティスって腰痛に効くの?」

多くの方がそう不安を抱えながらスタジオの扉を開けます。

腰痛には“運動していい腰痛”と“運動すべきでない腰痛”があり、その見極めが何より大切です。

実際、腰痛の多くは運動療法が有効とされる一方で、医師の診断や慎重な配慮が必要なケースも少なくありません。


この記事では、腰痛の分類を通して「ピラティスが有効な腰痛」と「まず医療を優先すべき腰痛」の違いを整理し、科学的な根拠に基づいてご紹介します。



□腰痛は大きく3つに分類される


○分類の意義

・腰痛の背景には、筋・筋膜のトラブルから神経の障害、内臓や感染症によるものまで、多岐にわたる原因が潜んでいます。

・そこで重要となるのが、**「問診による分類」**です。これは痛みの性質や発症状況をもとに、適切な対応を選ぶための第一歩です。


○腰痛の3分類とそれぞれの特徴


・①レッドフラッグ腰痛

 → 腫瘍、感染症、骨折、内臓疾患などが原因。発熱・体重減少・夜間の強い痛み・外傷歴などがある場合は、即座に医療機関へ

 (例:がんの骨転移による痛み、脊椎感染症など)


・②神経症状を伴う腰痛

 → 坐骨神経痛や脊柱管狭窄症など、神経圧迫が疑われるケース。足のしびれ、力の入りにくさ、感覚低下などが見られる。

 この場合も、まず医師による評価と診断が必要です。


・③腰痛のみ(非特異的腰痛)

 → 明確な器質的異常が見られないが、筋肉や姿勢の問題、ストレスなどが影響。日本整形外科学会によると、腰痛全体の約85%がこのタイプです。



□ピラティスが適応となる「非特異的腰痛」とは


○なぜ非特異的腰痛にピラティスが有効なのか


・非特異的腰痛は、長時間のデスクワーク、姿勢の崩れ、筋力の不均衡などに起因します。

・これらの原因は、体の使い方・動きの癖の改善を通じて根本的な解決が可能です。


・ピラティスは、「骨盤・体幹の安定」「正確な動き」「呼吸と動作の連動」に焦点を当て、

 無理なく安全に筋機能と姿勢を整えていくメソッド。

・海外の研究(van Middelkoop et al., 2010, Cochrane Database)でも、ピラティスが慢性腰痛に対して痛みの軽減と機能向上に有効と報告されています。


○推奨されるピラティスエクササイズ


・シングルレッグストレッチ

→腰椎のニュートラルポジションを保ちながら腹筋群を促通、また股関節の分離運動も同時に行える


・スイミング修正

→脊柱全体ののニュートラルを保ちながら肩関節、股関節を分離してコントロール


・プッシュスルー

→腰椎のニュートラルを保ちながら胸椎の分節的な動きを促す


・スワン

→腰椎のニュートラルを保ちながら胸椎の分節的な伸展の動きを促す


※上記のエクササイズはすべて痛みのない範囲で実施し、状態に応じて指導者が修正します。



□ピラティスでは介入できない腰痛への対応


○「特異的腰痛」とそのリスク


・レッドフラッグ腰痛や神経症状がある場合には、運動介入を一時中断し、医師の診断と連携を最優先にします。

・この判断を誤ると、症状の悪化や重大な疾患の見逃しにつながることがあります。


○スタジオでの取り組みの重要性


・私たちアールアップでは、初回のカウンセリングでしっかりと問診を行い、リスク評価を徹底しています。

・「どんな腰痛にも運動が良いわけではない」。その原則を守ることで、安心・安全な環境づくりに努めています。



□アールアップでできること


○医学的視点を持ったパーソナル対応


・ピラティススタジオアールアップセンター北では、リハビリやピラティスを専門とするスタッフが常駐し、身体の状態に合わせた個別指導を行っています。

・姿勢分析や筋力バランスの測定を通じて、「なぜその腰が痛むのか」を可視化し、オーダーメイドのプログラムを作成します。


○継続しやすい仕組みと空間


・完全予約制・プライベート空間で、周囲を気にせず安心して続けられる環境。

・日常のクセを変えるヒントやセルフケアのアドバイスも行い、日々の生活に無理なく“正しい動き”を取り入れられるようサポートしています。



□まとめ 〜見極めが「腰痛改善」への第一歩〜


腰痛には、「すぐ運動すべき腰痛」と「医療的評価が先の腰痛」があります。

ピラティスは非常に優れた運動療法ですが、すべての腰痛に万能ではありません。

だからこそ、最初のカウンセリングや問診で見極めることがとても大切です。


「ただの腰痛」と軽視せず、正しい知識と丁寧なケアで、

あなたが「本当に必要としているサポート」を一緒に見つけていきませんか?




□参考文献

• van Middelkoop M, et al. (2010). Exercise therapy for chronic nonspecific low-back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews.

• 日本整形外科学会・腰痛診療ガイドライン2021

• 筋骨格系理学療法学会誌, 2022

• National Library of Medicine: Low Back Pain and Exercise Therapy Resources


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